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Saturday, Jun 14 2008 no comments

青少年保護を方便に「有害情報」とやらを隠そうだの, 犯罪の未然防止とやらでン億円をかけて自動検知システムを作ろうだの, もはや日本は狂ってるとしか思えない。 ここでは tumblr で書き散らしたことをまとめてみる。

ネットに犯行予告が書かれていたのに未然に防げなかったとか, バッカじゃないの。 考えてみるがいい。 その辺の掲示板とかに「これから○○をぶっ殺す」とか書いているとして, そこにある内容を誰が本気にするというの? ネットには単なるストレスの発散を目的とした奴や, 今回のような本気の告白まで無数の反社会的な「便所の落書き」で満ち満ちている。 今回のケースは早速模倣者が現れ逮捕されてる人もいるみたいだけど, もし掲示板の書き込みだけで(威力業務妨害とやらで)逮捕されているんだとしたら, それって言論弾圧じゃねーのって思ってしまう。 石原都知事は「警察力強化で防げる問題じゃない。人間の内面の問題だ」とおっしゃったそうだけど, 日本は今更『1984年』を目指しているのか? それとも平安末期の「禿(かぶろ)」を再現するつもりなのか? (法律に関しては素人なので違っているかもしれないが)

「犯行予告」を検知するシステムを作る前にやることがあるだろう。 大事なことは通報された情報をどのように扱うかだ。 情報のほとんどはガセか冗談だろうし, そんなものにまでいちいち対応するほど日本の警察は人が余っているのか? しかも110番って, あーた orz

よろしい。 「犯行予告」を検知するシステムの要件について考えてみよう。 検知するのに必要な要件は以下のとおりだ。

  • あらゆるサービス(掲示板だけ見ててもダメ)を網羅し,大量に処理できること
  • 受動的失敗(この場合は「犯行予告」を見落とすこと)が少ないこと
  • 能動的失敗(この場合は誤検知やウソの「犯行予告」に対応してしまうこと)が少ないこと

検知であれフィルタリングであれ, この手のシステムの肝は抽出(または排除)する情報の S/N 比をどう設定するかという点に尽きる。 今回のケースであれば, S/N 比を上げれば受動的失敗が増え, S/N 比を下げれば能動的失敗が増える。 今回のような犯行予告は普通はノイズの中に埋もれている。 つまり受動的失敗(すなわち見落とし)が許されないのであれば S/N 比を低めに設定するしかないのである。 どこの企業か知らないが, 総務省に数億円で提案されたシステムは 「通常とは異なる急激な書き込みの増加や、自殺や殺人予告などの言葉を使った議論の流れなどを分析し、犯罪につながるような情報を認知できるようにする」 ものらしい。 おそらくそういう技術を導入することによって S/N 比を上げようってことだと思うけど, それでふるい落とされた情報の中に本物の「犯行予告」が存在する可能性を排除できないのなら, あまり意味のない機能であるといえる。 こう考えると, 「予告.in」のような割り切った設計のほうが筋がいいのでは, と思う。

問題は検知した情報をどう扱うかだ。 そもそも通報が110番というのがダメすぎる。 それで警察がわざわざその画面を見に来るとか, ありえないでしょ。 ネット上の事象なんだからネットの上で処理するのが効率的。 くだらない自動検知システムなんか作る前に, 通報自体を自動化するシステムを作るほうが先でしょうが。 金のかけ方を間違ってるよ。 その上で通報された情報をアーカイブ化し, 各都道府県の警察が照会できるようにすればいい。 ここまでは自動または半自動でできるはずだ。 情報が正しいかどうかの判定, それに対してどのように対応するかといったことは各都道府県の警察の仕事だ。 多分専門のセクションが必要になるだろう。

今回のケースをテロ扱いするのはどうかと思う。 私は地方在住者だから余計にそう思うのかもしれないが, 客観的に見れば今回のケースは「その辺の兄ちゃんがキれて暴れた」というだけの話。 それで殺されてしまった方々には本当に気の毒だと思うけど(故に犯行者に同情する余地はない), 事件そのものになんら特殊性はない。 個人的な動機に基づいた個人的な犯行だ。 それをテロと呼ぶのなら, 世の中の全ての犯罪はテロってことになる。 もちろん, 特別な誰かではない「その辺の兄ちゃん」がやらかしたってことに関する社会背景はあるのかもしれないが, それは別次元の議論だろう。 派遣業との絡みが取り沙汰されているけど, 私が経営者なら, 派遣社員にそんなリスクがあるのならとっとと切るよ。 自分の社員でないものをなんで腫れ物みたいに取り扱わなきゃならないの?

あと, 掲示板上で説得すれば未然に防げたかも, なんて話もあるみたいだが, 個人的には怪しい気がする。 彼の書き込んだログはチラッと見たけど, 「人間関係アノレキシア(拒否症)」に嵌ってるんじゃないかと勘繰ってしまう。 人間関係アノレキシアについては, 今読んでいる 『嗜癖する人間関係』 に記述がある。

「アノレキシアというのは、 人間関係に取り憑かれた人々を含めて、 人間関係の回避に取り憑かれた人々のことです。 ここで私は、 独りでいることを快く感じる「孤独者」や親密にならない選択をする人については除外するつもりです。 人間関係を望みながら人間関係に取り憑かれて、 人間関係を回避するためなら何でもする人のことを取り上げます。 嗜癖の鍵は強迫です。 これらの人びとは恐怖を抱いていたりおびえているように見えます。 人間関係を結ぶべきとか、 カップルの相手になるべきとか感じていながら、 心の底ではそれらを恐れています。 これらの人間関係嗜癖者たちは、 強迫の深みに入るにつれ、 どんどん孤立してゆきます。 決して嗜癖者とは見破られず、 また中核嗜癖を隠すために別の嗜癖(たとえば化学物質)を利用するかもしれないのです。」 (p.111)

彼の場合, 自己評価の低さと他者への転嫁が裏表になって現れているところが, いかにも嗜癖問題っぽい。 要するに彼は「嘆きのヒーロー」を演じることに耽溺してしまっているわけだ。 まっ心理学とか精神分析については素人だからまるっきり違うかもしれないけどねー

「chumby」遂に日本上陸|株式会社ジークス

知ってる人は知っている。知らない人はゴメンなさい。あの chumby が遂に日本上陸の模様です。 C-NET Japan の記事によると 「ジークスが代理店となり、発売時期は2~3カ月以内、価格は2万円台を予定しているという。」 ということで,今から待ちきれないですぅ。もう iPhone とかどうでもよくなってきた。

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おおっ, 天文学カテゴリの記事は1年以上ぶりじゃないか! 最近は Vox で書くことが多いからなぁ。

今年, オスロで行われた IAU (国際天文学連合)評議員会において, 冥王星型の TNO (Trans-Neptunian Object)に対して plutoid(s) という名称を与えることを決定しました。

ここでちょっと復習をしておきましょう。 発端は2006年の IAU 総会で決議された太陽系天体の新定義です。 決議された定義を以下に挙げます。

  1. planet とは,
    1. 太陽の周りを回り
    2. 十分大きな質量を持つので,自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し
    3. その軌道の近くで他の天体を掃き散らしてしまっている天体
    である。
  2. dwarf planet とは,
    1. 太陽の周りを回り
    2. 十分大きな質量を持つので,自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し
    3. その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり
    4. 衛星でない天体
    である。
  3. 太陽の周りを公転する上記以外の他のすべての天体 は “Small Solar System Bodies” と総称する。
  4. 冥王星は上記の定義によって dwarf planet であり, Trans-Neptunian Object の新しい種族の典型例として認識する

冥王星を含む「Trans-Neptunian Object の新しい種族」については Plutons とか plutonian objects とかいった名称が提案されましたが, 決議には至りませんでした。

この決議を受けて, 日本学術会議において「太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」が開かれます。 2007年に公開された第一報告では太陽系天体の和名が紹介されました。 以下に小委員会で決まった和名を挙げます。

planet :
「惑星」を推奨
dwarf planet :
「準惑星」を推奨
small solar system bodies :
「太陽系小天体」を推奨
trans-Neptunian object :
「太陽系外縁天体」を推奨

また, 2006年の IAU 総会では決議に至りませんでしたが, 冥王星を含む太陽系外縁天体の新しい種族については, 先行する形で「冥王星型天体」という名称を推奨しています。

さて, 今回の決定は「冥王星型天体」に相当する正式な名称とその定義について言及しています。 すなわち plutoid(s) とは

  1. 太陽の周りを回り
  2. 太陽との軌道長半径が海王星のそれより大きく(TPS の記事では average distance (平均距離)ってなってるけど,多分間違い)
  3. 十分大きな質量を持つので,自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し
  4. その軌道の近くで他の天体を掃き散らしていない天体であり
  5. (plutoid の)衛星でない天体

となります。 「太陽との軌道長半径が海王星のそれより大きい」以外は準惑星の定義と同じです。 簡単に言うなら, 海王星より遠いところにある準惑星は全て冥王星型天体だということです。 ちなみにフランス語では plutoïde, スペイン語では plutoide だそうです。 現在, この定義に完全に合致する天体は冥王星とエリスのみですが, 今後の観測により冥王星型天体が増えていくことが期待されています。

ところで, 日本学術会議の「太陽系天体の名称等に関する検討小委員会」では, 第二報告も公開されています。

第二報告では中学生向け説明資料があって「準惑星」の記述を巧妙に外しているのが面白いです。 教育指導者向け説明資料では

「「準惑星」には上記の冥王星、 エリスに加えて、 小惑星帯のケレスが含まれる。 準惑星の概念は太陽系の理解に必ずしも本質的でなく、 高校までの教育のレベルを超えると判断されるため、 その積極的な使用は推奨しない。 また、 分類名には過度にこだわるべきではない。」

と書かれています。 前にも書きましたが, やはり準惑星の扱いに困ってる感じですね。 一方, 新太陽系図として公開されているリーフレット (PDF; 利用規約(これも PDF)によると,ネットへの転載は禁止されているので注意)はなかなかいいですね。 私はいまだに「外縁天体」という言い方に違和感があるのですが, リーフレットを見れば, かつて私たちが太陽系としてイメージしていたものが実は太陽のほんの近傍に過ぎなくて, 今「外縁」と呼んでいる部分こそ太陽系の大部分であることが分かると思います。

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